炭鉱のカタリヤのブログ

米国株を中心とした資産運用ブログ

シャープレシオを高める

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よく債券を買うとパフォーマンスが落ちるといいますが、私が検証した結果は債権を30~50%所有し年1回程度のリバランスを行う条件で株式100%を少し下回る結果となりました。じゃあ株式100%とでいいじゃないかバイバイ。。。”ちょ待てよ!”大切なことはシャープレシオが高まるということです。

 

シャープレシオって何者!?

聞いたことはあるけどよくわからんという人が多いのではないでしょうか。ざっくりいうとリターンとリスクの釣り合いを表します。仮に定期預金で年1%の利回りと、株式で半分になったり倍になったりして結局1%の利回りを得るのであれば普通は定期預金の方がいいですよね。ちなみにソルティノレシオは下方向へのバラつきのみ考慮します。リターンは大きく変えるのが難しいく、一般的には利回りに対し値動きが小さいものが高評価となります。

 

シャープレシオ = (運用利回り) - (無リスク資産の利回り)

                  (標準偏差)       

 

なぜシャープレシオの向上が大切か

別に高くなる可能性もあるし最終的に一緒ならいいじゃんという意見もあるかと思いますが、精神的苦痛以外にも資産運用は教育資金や老後(自己責任2000万円w)といった目的ごとに運用していくのが一般的です。つまり出口と期待する金額がある程度決まっているのです。いざ使う時に計画通りに資金調達をするためにシャープレシオが大切なのです。

下の図は VTI 対 VTI+債券50%(年一リバランス)リターンの比較です。トータルリターンではVTIが高く、シャープレシオはVTI+債券の方が高いです。債権を入れたほうが見通しを立てやすいと感じませんか。f:id:life_trade:20190401140436p:plain

シャープレシオの高いポートフォリオを推奨する人

・すでに大きな資産を築いている人
・現状に割高感を感じる人
・投資初心者

既に大きな資産を築いている人は大きく勝つより、大きく負けないほうが大事ですね。複利を活かして築いた資産が最後に大崩れすると複利が効いてる分下落が半端ない威力になります。倍々ゲームの最後で負けるようなイメージです。

また現状株価が高すぎるという場合もシャープレシオを高めることが有効です。株が適正な値段になるまで待ち、適正まで下がったら株へ振り分けるイメージです。

最後に初心者は今は高すぎるとかまだ下がるからなんていつまでも機会損失をたれ流せば貴重な運用期間がどんどん少なくなってしまいます。また乱高下の激しい資産に一点フルインベストすれば振り落とされて一発退場もあり得ます。シャープレシオが高いポートフォリオであればいつ始めても大きく始めても問題になりません。暴落時に改めて株へ全振りでも構わないと思います。市場は個人の都合に合わせてくれませんのでこちらから市場の都合に合わせましょう。

 

どうやってシャープレシオを高めるの?

一般的な方法は二つあります。

1.価格変動の小さい資産を保有する

2.違う動きをする資産を組み合わせる

1についてはそのままです。2がとても興味深いです。下の図S&P500とTLT*1を見ると赤い丸で株価↓:債券↑、青い丸で株価↑、債券↓となっています。この別々の動きのおかげで全体が安定化します。但し黒い丸付近※では同時安となっており、いつも完璧に機能するわけではない点に注意が必要です。

※2018年末にFRBが市場の期待とは逆に金利を上げたため債券と株の同時安が起こりました。f:id:life_trade:20190701132503p:plain

更に大事なことは長期で見ると両方ともプラスリターンであることが重要です。逆ならいいでしょとインバース型で対応しようとするのは愚行です。短期間であれば”両建”てという手法で存在しますが長短期で打消しあって経費によりリターンを押し下げます。

 

シャープレシオソルティノレシオか

結論からいうと人それぞれです。また長期でみるとどちらを使っても判定はあまり変わらないことが多いです。上がって下がったならOKがすっきりする人はソルティノレシオを高める努力をすればいいと思います。ちなみに私個人はポートフォリオとしての評価はシャープレシオが好みです。理由は資産が(平均より)上がりすぎたということは、ポートフォリオとして逆の動きをする別の資産がなかった(弱かった)ということです。もし逆に動く資産があればリバランスによって安く買って高く売ることにより、山がつぶれて平均自体が上がるはずだからです。詳細は事項にて。

 

ボラティリティがないとつまらない!?(リバランスによるカウンターパンチ)

シャープレシオが高いと爆上げの期待がないからつまらないじゃんと言われそうですが、私の場合は個々のリスクはそれなりに高いもの(戻ってくる前提)と逆の動きをしやすいものをペアで選びます。そしてどちらかが上がりどちらかが下がればカウンターパンチのチャンスです。それぞれを元の保有比率に戻すこと(リバランス)で高く売り安く買います。更に自信があれば安くなった資産を元の保有比率よりも大きくすれば効果は更に上がります。このように市場の上下をリバランスで整えながら呼吸する様に全体の成長を狙います。

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長期リターンは株が上

何もせず長期リターンだけで見れば債券は株に劣後します。なので債券はポートフォリオの安定化というよりも暴落時にカウンターを狙いに行くため、割安時(株高時)に仕込む右ストレートでイメージしています。但しタイミングがずれる可能性があるため保有を0%にするのは好ましくありません。積極的なときでも株7:債券3が最大というのが一般的です。 この低金利下でのコロナショック時も債券は上がったので効果はあると思いますが現在は利回りが0%に近すぎて債券の値上がりが限定的な点には注意は必要です(私は債券全部売っちゃいました)。少し前に元FRB議長グリーンスパン氏による金利0%には意味がないという記事を見かけましたが今はまだ金利0%は意識されているように感じます。

 

まとめ

長期的にはプラスだけども短期的に株と逆の相関(ベータ値)をもつ債券の例でシャープレシオの高いポートフォリオのメリットとその方法を紹介しました。次回はバックデータを用いて具体的な検討をしていきます。最後に逆に動く割合を示すβ値について。2020年3月末現在のTLTのβ値は-0.54です。基準がSP500なのでSP500が1%上がるとTLTは-0.54%下がったということです。理論的には株1:債券2で保有すればお互いの長期リターンのみを享受できますが株が少ないのでリターンは下がります。この辺の塩梅が難しい所ですね。

 

*1:20年超え債券ETF